相模原の施設で起きた、戦後最大級とも言われる殺傷事件。熟睡中の重度障害者十九人を刺殺、二十六人に重軽傷を負わせるなんて、およそ人間のやることとは思えません。

 周囲も容疑者の思想の危険性には気づき、病院に措置入院させたものの、主治医の判断でわずか十二日後には退院させている。この判断の可否や、退院後のケア・連携不足が大惨事につながったのではと批判の嵐。政府も見直しを求めている。GPSをつけるなど監視の目を強化すべきという考えまで出ているの。

 もちろん、具体的な対応策の見直しは必要。ただ、もっと事件の本質に迫る議論が大切なのではないかしら。今回の事件は差別が暴力という形で噴出している。これは明らかにヘイトクライムよね。

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「津久井やまゆり園」の献花台で手を合わせる人たち
Photo:Kyodo

 今年の六月にはフロリダでゲイクラブを標的にした銃撃事件が発生。五十人もの命が奪われました。また、ISのホームグロウンによるテロも世界中で多発。アメリカでは共和党の大統領候補者が移民に対する不満を煽り大きな支持を集めているし、イギリスでは難民への憎悪がEU離脱へとつながりました。こうした「憎悪→排除」の構図が今、世界中に広がっています。

 相模原の事件も、構造的に通じるものを感じるの。入所者の手へ落書きするなど、数年前から容疑者の障害者に対する偏見が感じられる。日々負担の大きい仕事の中で差別感情がどんどん膨らんでいき、ついにジェノサイド的行為へと容疑者を駆り立てたのではないのかしら。

 注意したいのは、こういった傾向が多かれ少なかれ、ボクたちの身の回りでも強まっているということ。ネット社会がそれに拍車をかけている。この憎悪の連鎖に歯止めをかけられるのは教育しかありません。すごく大きな課題を突きつけられているように感じるわ。