元AV女優のセカンドキャリアの難しさ
――ちなみに元AV女優であることで賃貸契約が難しかったりは?
神野 移住先では全くなかったです。大家さんに何か言われることもなく。
現役の時は職業として安定していないこともあって、家探しは難しかったです。普通の不動産屋ではなく、専門の不動産屋にお願いしていました。
ただ、引退してからは全く問題ないです。そもそも元AV女優であることがバレることはほとんどなくて。
――セカンドキャリアについてお聞きしたいのですが、今は会社員、文筆家として働いているんですよね。
神野 そうです。AV女優を引退した時に、セカンドキャリアについて色々考えていたんですが、自分が経験してきたことを活かす仕事と、そうではない仕事の両軸でやっていきたいなって思ったんです。それで会社員として仕事して、フリーの文筆家としてこれまでの経験からエッセイを書いたりしています。
もう完全に引退して表舞台に出てこないという選択肢もあったんですが、過去は変えられないし、自分にしかできないことをやりたいと思って。そういう風に綺麗に言っていますが、正直なところ生かすというよりも生かさざるを得ないというのが現状ですね。
過去の経歴があっても受け入れてくれる環境
――会社でも自分の経歴を明かしている?
神野 はい。知ってもらった上で入社しています。だからあえて隠していないです。知らない人に自分から言うことはないけど、聞かれたら話しています。
――神野さんは女優時代の「渡辺まお」から改名しましたよね。それはどうしてですか?
神野 新しくスタートを切りたいと思って、名前を変えました。名前には知名度もありますし、そのままの名前で活動するメリットもあるとは思うんですが、引退と同時に「渡辺まお」には蓋をして。元AV女優ではあるけれど、現役じゃないよっていう意味でも変えた方がいいかなって。
それに、そもそもAV女優の時の名前は事務所のものなので、変えざるを得なかったのもあります。
ただ名前を変えても「脱いでた裸のまおちゃん」というイメージは変わらないですね。SNSでもいまだに性的なメッセージを送ってくる方はいますし。まあでもしょうがないと思います。それだけAVのイメージは強いわけで。
――大学卒業後、会社員として働いてみていかがですか?
神野 一つの組織の中に属して働くっていう経験がなかったので新鮮です。学生時代からデビューしていたので、他の同期よりも早く社会に出ていたんですけど、AV業界は普通の会社とは全然違いますよね。
もともと学生の時にインターンもやっていたし、オフィスワーカーに興味があったので、今そういう仕事ができているのがありがたいです。自分の過去の経歴があっても受け入れてくれて、普通に働けているので。