結婚や子どもを持つことも普通の人よりもかなり難しい
――AV女優のセカンドキャリアはなかなか難しいとも言われていますが、実際にそう感じることはありますか?
神野 難しいと思います。私は運良く会社に入れたけど、面接の時に落とされるという話はよく聞きますし。経歴を隠していても誰かが見つけて一気に広まるということもよくあります。
セカンドキャリアだけではなく、結婚や子どもを持つことも普通の人よりもかなり難しい。そこは現実としてあります。
それに生涯でAV女優をやっていたっていうインパクトを超えるものを生み出すことはほとんどないじゃないですか。どんなに新しいキャリアを歩んでも「元AV女優」が絶対につきまとう。だからこそ、それを武器にして新しい道を行くしかないと思います。
高校の同窓会で聞かれたこと
――出演作品の削除も考えているとおっしゃっていましたが、具体的に何か動いたり?
神野 作品には5年ルール(作品に5年の使用期限を設け、それを過ぎて配信や販売をする場合は、契約の延長が必要)があるんですが、あと半年なんですよ。
だからその時が来たら消してもらおうかなって。ただ、やり方がわからなくて。膨大な量の作品をどこにどうやって消してもらうのかなと。契約書とかは全部残しているんですけど、制作メーカーもバラバラですし。
今でも明細が届いて二次使用料が振り込まれているんです。総集編が作られましたって。やめてからも作品は増え続けているんですよね。
過去の自分を恥じているわけではないけれど、自分の選択としてもう残しておかなくてもいいかなって。楽しませるものは楽しませたし、メーカーの売り上げにも繋がったし、それに5年経ったし。総集編で100円セールとかで売られているのを見るとびっくりしますからね。それならもう削除しようかなと。前に進むという意味でも来年消そうと思っています。
――経歴を気にせず、これからもいろんなことに挑戦していくと。
神野 人生何が起きるかわからないので。正直、移住した時は彼とずっと一緒に生きるんだと思っていましたから(笑)。自分はあの場所で仕事をしながら家族として暮らしていくのかなって。そしたら5日で東京に戻ってきたので。まあ、私はこういう運命なのかなと思って。
この前、高校の同窓会があって、成人式以来初めて行ったんですよ。そしたらみんなから「次は何するの?」「次はどうなるの?」「次はどんな結果を残すの?」って質問攻めにあって。みんな私の次が気になるんですよね。次はこれって決まっているわけではないけど、周りに流されず、自分のやりたいことを続けていきたいです。
それと来年本を出すことになったので、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
写真=佐藤亘/文藝春秋