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日が経つほど補償額が上がっていく

「当時住んでいたマンションは分譲賃貸だったので、部屋ごとにオーナーと管理会社がバラバラ。日中は各部屋の担当者から今後についての連絡があり、状況が複雑化していました。また、日が経つほど補償額が上がると言われたので、かなり焦りましたね。唯一の救いは階下の人々は誰も怒っていなかったこと。菓子折りを持って謝罪に行くと『大変ですね……』と声をかけてもらい、泣きそうになりました」

 その後、入居時に加入した火災保険で被害者に補償金を支払うことになり、保険の担当者が被害状況の確認に訪れた。

「見積もりの結果、総額で800万円ほどの金額になっていたような気がします……。正直、あまり見たくなかったので金額はうろ覚えなんです(苦笑)」

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※写真はイメージ ©takasu/イメージマート

 補償金額の見積もりも出てひと安心……と思いきや、さらなる困難が村瀬さんを襲う――。

住人以外が起こした漏水は補償の対象外⁉

「見積もりを出した保険会社の担当者に『漏水を発生させたのは村瀬さんではなく、彼女さんですよね? この条件では、補償金を支払えません』と告げられたんです。彼女は時折泊まりにきていただけで、住んでいるわけではないし、そもそも1人暮らしで契約している部屋なので、誰かと一緒に住んではいけない。初めから自分がやったといえばよかったのですが、混乱していたのもあり、全部正直に話してしまったのが運の尽きでした」

※写真はイメージ ©takasu/イメージマート

 村瀬さんが加入していた保険では、住人以外が起こした漏水は補償の対象外だったのだ。そうは言っても、いきなり800万円もの大金を用意できるはずもない。

「なりふりかまっていられなかったので、彼女のお父さんが加入している保険の補償内容を見せてもらいました。すると、今の状況でも補償金が支払われる火災保険に入っていたんです。ちなみに、それが彼女のご両親との初対面になりました(笑)」

「補償金は出ない」一点張りの担当者

「この保険を使うしかない!」と、彼女の父親経由で保険会社に連絡を入れると、担当者が「補償金は出ない」と言い放ったという。

「まったく聞き入れてもらえない様子だったので、途中から僕が保険会社と直接やりとりすることになりました。『保険約款にも書いてある』と話しても、担当者は“払えない”の一点張りでしたね」