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「制作費の3倍くらいの興行収入があればいったん黒字にはなるんです」
――まさに大ヒットですが、制作費の2600万円はペイしたと思っていいんでしょうか。
安田 もちろんです。興行収入の振り分けは、だいたい半分が映画館に入って、残りの50のうち10%が配給会社、40%が制作に渡るイメージです。だから、制作費の3倍くらいの興行収入があればいったん黒字にはなるんです。今回は大黒字です。
――それを聞いて安心しました。
安田 自分は『カメ止め』を本当に尊敬してるんですけど、あの映画は真似したらあかんところが1つあって、映画を作るお金は絶対に自分で出さなあかん。『カメ止め』はワークショップで作った映画だったので、上田(慎一郎)監督や俳優にほとんどお金が入っていないんです。だから『侍タイ』は、車を売ってでも自分でお金を出して作りました。あと、映画にも出演してる沙倉ゆうのちゃんが少し出資に入っています。
――沙倉さんは安田さんの映画会社のスタッフでもありますよね。
安田 そうなんです。出資の経緯もおもろいんですけど、制作中に銀行に行く時間がなくて、ゆうのちゃんに100万円立て替えてもらったことがあったんです。数日後に返そうとしたら「まだ返さなくていいから、映画が当たりそうだったら出資にさせて?」と頼まれました。それで試写会でお客さんが笑っているのを見て「このあいだの100万円、出資にする!」と。たくましい人やなぁと思いましたね(笑)。ゆうのちゃんや配給さん、映画館さん、俳優さんとかいろんな人に助けてもらい過ぎて自分の手柄だとは思えないですけど、とりあえず次の映画もお米も作るくらいのお金は残せそうでほっとしてますわ。