――抗がん剤によって抜け落ちた髪の毛は、いかがでした?
藤乃 2月頃から、生えてきました。ヒナ鳥の産毛のような状態から少しずつ。まゆ毛やまつ毛もですね。3月頃には野球少年のような坊主頭になり、そこから一気に伸びて、今の髪型に落ち着きました。
ここまで短い髪型で暮らすのは人生初で、ずっと長かったので、最初はセットの仕方が分からなかったです。美容室で何となく教えてもらって、使っていなかったワックスも買い、細いヘアアイロンも買って、自分なりにスタイリングできるようになりました。
「花屋さんでわざわざ桜を買ってきてくれた」入院中に支えてくれたグラビア仲間の存在
――日常生活が戻ってきて、SNSでのがん告白について反響もあるのでは?
藤乃 私と同じ横紋筋肉腫を発症してしまった息子さんを持つ女性から、実体験と合わせて「がんばってくださいね」と書かれた手紙が来たのは、うれしかったです。その方は、がんを告白した記事を見て私を知ってくれたそうで。別の記事が出てからは、応援コメントもたくさん届きました。
――今振り返って、闘病生活を支えてくれたものって、何だと思いますか?
藤乃 家族はもちろん、友だちもですね。女優さんで、グラビア仲間の未梨一花ちゃんは入院中、毎週のようにお見舞いに来てくれて、桜の季節には「桜を見られないだろうから」と、花屋さんでわざわざ桜を買ってきてくれました。
地元の友だちも故郷の石川県から日帰りでお見舞いに来てくれたし、デビュー当時からずっと応援してくれているファンのみなさんからは、寄せ書きやパジャマもいただきました。周りのみんなに支えられて、ありがたかったです。
――僕らの想像など及ばない辛さもあったとは思いますが、藤乃さんの人生において、価値観が変わるほどの経験にもなったのかなと。
藤乃 周りの人が温かくて、私は恵まれてるなって再認識できました。ありがたみを感じられたのは大きくて、関わってくださる方を、もっと大事にしたいと思いました。いずれ故郷に帰りたいとは思いますけど、復帰した今は、グラビアのお仕事に限らず、やれることを愉しみながら張り切ってやっていこうと思っています。
撮影=橋本篤/文藝春秋