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お風呂に入っていたら、髪の毛がごっそり抜けて…

――抗がん剤治療の期間は2023年1~12月で、のべ11ヶ月間に渡りました。その間、入退院を繰り返したそうですね。

藤乃 2種類の抗がん剤を使って、1種類は1週間に1回の投与で数週間繰り返す流れだったんです。もう1種類は5日間連続での投与が必要で、先生が抗がん剤を組み替えながら治療してくれたので、入退院のペースはまちまちでしたね。1週間で退院する期間もあれば、3週間の入院後に4日間退院して、また3週間入院した期間もあって。

 1つの期間がクールと呼ばれるので、結果として14クール。入院中は「いつ終わるんやろ……」と、不安もあったんですけど、1年の予定が少しちぢまってホッとしました。

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――かつては肩をも超えるほどの長さのロングヘアでしたが、ショートカットになったのは、抗がん剤治療がきっかけだったのでしょうか?


藤乃 はい。いずれ髪の毛が抜けるとは聞いていたし、治療がはじまってすぐは「自分の髪の毛でウイッグを作れんかなぁ」と思っていました。でも、想像より抜けるのが早かったんです。

 抗がん剤治療のスタートから2週間ほど経った頃、病院のお風呂で髪の毛を洗っていたら両手でフワッと抱えられるほどゴッソリ抜けちゃって。苦手なホラー映画のワンシーンを思い出して「怖いし無理や……」と思ったので、風呂上がりに付き添いの母に「今から切るわ」と言って、文房具のハサミでバッサリとボブぐらいまでカットしました。

抗がん剤治療の影響でゴッソリ髪の毛が抜けた藤乃あおいさん。文房具のハサミで自ら髪の毛を切ったという(写真=本人提供)

「心も身体もボロボロでした」肌が黒くなり、口内炎で口の中がデコボコに

――髪の毛が抜ける以外にも、抗がん剤の副作用はありましたか?

藤乃 入院後は外出しないから「肌が白くなるな」と思っていたのに、首から下が黒くなったんです。一時退院中、風呂上がりに母からも「黒くなったよね」と言われるほどでした。

 よく聞く吐き気はなかったんですけど、お腹がゆるくなってトイレにもこもっていたし、免疫が下がるので口内炎もひどかったですね。歯茎から舌の裏側まで、口の中がデコボコで真っ白になって。感覚を麻痺させるためのうがい薬を5~10分に1回は使って、痛みを抑えていました。