武闘派ヤクザの組長が5年ぶりに身柄を釈放された。2019年、対立していた暴力団組員を銃撃したとして殺人未遂罪などに問われた指定暴力団六代目山口組の二次団体「山健組」組長の中田浩司被告(65)に対し、神戸地裁(丸田顕裁判長)が無罪を言い渡したのだ。
「ややこしい話ですが、中田が襲撃したとされた相手も同じ六代目山口組の中核二次団体『弘道会』の組員でした。とはいっても、中田率いる山健組は19年の襲撃当時、六代目側から分裂して対立抗争中の『神戸山口組』に所属していました。中田が山健組ごと六代目側に移籍したのは事件後、神戸側のトップの井上邦雄組長と仲違いしてからのことでした」(全国紙記者)
「組長がヒットマンになるなんて組は、聞いたことがない」
中田の襲撃が事実だとすれば、「抗争が中核団体同士の直接衝突に発展したことになる」(同前)と当時話題になった。
「それまで神戸側は六代目側にやられっぱなしだったこともあり、とうとう反撃に出て全面戦争になる、との見方もありましたが、突然、山健組組長である中田が失踪し、当惑が広がりました」(同前)
暴力団は組織犯罪集団であり、抗争の実行役は下っ端の組員や偽装破門した元組員にやらせるのがこの業界の常識だ。だが、兵庫県警が実行犯として逮捕したのは、事件直後から逃亡していた中田だった。
暴力団関係者は「普通はヒットマンの面倒を生涯みてやるのが組長。組長がヒットマンになるなんて組は、聞いたことがない。まして山健組は最盛時で何千人も組員がいた大所帯。そこに組長が信頼できる部下が一人もいないことになる、と話題になった」と振り返る。