プライベートでは2013年に日本女子体育大学へ進学。体育学部運動科学科で舞踊学を専攻した。子どもの頃から日本舞踊、クラシックバレエ、ヒップホップダンスなどを習い続けてきた土屋。抜群の身体能力を買われて、映画『るろうに剣心』「京都大火編」「伝説の最期編」(共に2014年)の巻町操役にキャスティングされる。
主演の佐藤健は共演当時のことを振りかえって「ダッシュするシーンでは、見えなくなるまでずっと全力疾走」「いい意味で不器用」「“こなしてる”画にならない」と、土屋の真面目さと全力投球ぶりを賞賛していた。
『今夜は心だけ抱いて』(2014年/NHK BSプレミアム)では、田中美佐子とW主演。翻訳家の母親と高校2年生の娘が入れ替わってしまうスイッチングもので、土屋は「中身が47歳」という役どころを堂々と演じてみせた。
キャリア初期の10代までのあいだに、すでに多くの難役を演じている。しかし「百合子への道程」はまだ遠い。当時はまだ「与えられた役に体当たりで精一杯に」という段階だった。
「チャンスをください!」と懇願
2014年前期の朝ドラ『花子とアン』(NHK総合)でヒロイン・花子(吉高由里子)の末の妹役を演じている最中に、翌2015年前期の朝ドラ『まれ』(同)のオーディションに挑む。最終選考の帰り際に「チャンスをください!」と懇願したという逸話が残る。この「押しの強さ」が功を奏したのか、土屋は2020人の応募者の中からヒロイン・津村希役を勝ち取った。
土屋が『まれ』で演じたヒロインは、父親が失踪したり母親の依存心が強かったりして「ひと癖ある家庭」の長女。「しっかり者の娘」の役割に甘んじていたけれど、パティシエの夢を諦めきれずに自己実現に向けて走り出すという、実はなかなか複雑な設定なのだ。
しかし、脚本・演出との相性がいまひとつだったのか、土屋がこれまで得意としてきた「影のある芝居」があまり活かせていない印象があった。
『まれ』以降の作品では、学園ドラマや胸キュンラブストーリーの「ヒロイン然としたヒロイン」や、健気でしっかりした「理想の娘」というような役柄が多かった。土屋の「陽」の部分ばかりがピックアップされた数年が続いた。