お酒やタバコ、ギャンブルなどに依存するパートナーとは、どう接したらいいのか。依存症専門医の山下悠毅さんは「『もう二度としないでね』『次にやったら、絶対離婚するから』などと伝えても意味がない。あなたに今日からやめてほしい3つのことがある」という――。
※本稿は、山下悠毅『依存症の人が「変わる」接し方』(主婦と生活社)の一部を再編集したものです。
パートナーの悪しき習慣をやめさせるには?
患者さんと主治医が関係性を構築していく中で、サポートをする家族やパートナーといった周囲の協力は欠かせません。
「先生。私たちは今後、あの人とどう接していけばよいのでしょうか?」、必ずといっていいほど聞かれる質問です。
【医師】依存症を支える方は本当に大変でエネルギーがいります。その覚悟はありますか?
【家族】はい。あの人が変わるなら、私は何でもやります。教えてください。
【医師】でも、本当に本当につらいですよ。
【家族】大丈夫です。今までも本当に大変だったので、必ずやります。
【医師】わかりました。では、「どう接したらいいか」の答えを言います。これからは、「『これまでにやってきた効果のなかったこと』は二度としない」を守ってください。
【家族】どういうことですか?
「あの人とどう接したらいいかわかりません」。これもまた、患者さんと同伴した家族が必ず口にする言葉です。
ご家族は病院に来るまで、叱る、脅す、念書を書かせる、取り引き、泣き落とし、ありとあらゆる方法で、相手(当事者)を変えようと奮闘してきました。しかし、それらがうまくいかなかったのであれば、もう「それ」をしてはいけません。
なぜなら、これまでの方法では、相手と「仲が悪くなる」一方だからです。依存症に巻き込まれた家族は、「なんとかしてやめさせよう」とやっきになります。もちろんその気持ちはわかります。
しかし、人が行動を変えうるのは、「何を言われるか」ではなく「誰に言われるか」です。