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【患者】会社にお願いをして、精算は(妻が管理する)口座へ振り込んでもらいます。

このように、告白できたのであれば、スリップを通して治療は進んでいるのです。

依存症は、本人よりも家族が先に困ります。しかし、いつか必ず本人も困るのです。「いつか」がいつになるのかはわかりません。

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しかし、ギャンブルにせよ痴漢にせよ盗撮にせよ、スリップを重ねて社会的な不利益や制裁を受ければ受けるほど、必ず誰かに相談をしたくなります。

その際、こちらが相手の行動を否定するのではなく受容し、相手を変えようとするのではなく、相手がどうなりたいかに注目しながら適切な対応を続けたなら、相手は必ず変わっていきます。

依存症患者の治療を妨げる三大禁則

そのためにも、家族やパートナーは次の3つをしないように心がけてください。

① 確認
「もう痴漢はしないよね?」「ちゃんと病院に通ってるよね?」など

② 念押し
「次にやったら、絶対離婚するからね」「次は実刑になることを忘れないでね」など

③ 蒸し返し
「あのとき、私がどれだけ大変だったか覚えてないの?」など

やりがちなことですが、これらは「やってはいけない」ことです。その理由を説明します。

理由その1:「確認、念押し、蒸し返し」、これらは当人の4つの感情を損なわせる

物質依存症では、「安心」や「所属」の感情を得るため、行為依存症では、行動する理由は「特別」や「挑戦」の感情を得るためと『依存症の人が「変わる」接し方』の中で説明しました。

家族(=あなた、とします)が①と②をすればするほど、相手は損なった感情を、問題行動で満たしたくなります。

そして③の「蒸し返し」は、相手と喧嘩をしているときに、あなたが抜く「伝家の宝刀」です。

自分の形成が不利になった際に、「あのとき、私がどれだけ」と蒸し返す。これを抜かれたら、相手は黙るしかありません。

あなたはいつでも勝てる常套句を手に入れたようなものですから、相手の中の「尊重・特別」「所属・つながり」「安心・安定」を奪ってしまうわけです。相手と衝突した際に、「いま、2人で論じているテーマ」と、過去に相手がしてしまった問題行動が無関係であったなら、過去を持ち出すのではなく、現在のテーマに集中して話し合ってください。