母娘で相談会に来るケースも

「相談に訪れるほぼすべての女性が、卵子凍結や婚活をすでに経験されていますが、いくら卵子凍結をしても、パートナーができなければ使う機会はありません。婚活にしても、この人の子どもを産みたいと思える男性に巡り合えなかったり、お互いの条件に折り合いがつかなかったり、結婚してもすぐに介護が見えていたりと、理想的な相手と出会うまでの道のりは険しい。一方で、精子バンクで選んだ精子であれば、お互いの年齢や性格、事情を考えることなく、自分の意志で計画を進めることができます。これまで抱えていた閉そく感とは打って変って、子どもという希望に向かって女性のみなさんが主体的に関われるため、みなさんとても前向きな気持ちになりお顔も明るくなっていきます」

 もちろん、アメリカに渡ったところで皆が成功に至るわけではない。ただ、受精卵を移植したあとの妊娠率や出産率に影響する着床前診断(体外受精で得られた胚盤胞を子宮に胚移植する前に、胚盤胞に染色体異常がないかを調べる検査)についても、日本では対象者が直近2回の胚移植で妊娠しなかった場合や、過去2回以上の流産歴がある場合に限られるのに対し、ミラクルベビーの連携医療機関では希望をすれば初回から実施してもらえ、ほぼ全員が希望し受けている。この着床前診断では正常胚を見つけることができるので、日本より効率よく時間を無駄にせず妊娠を目指すことが可能になる。

「アメリカの最先端の不妊治療を受けてダメなら諦めがつく、と前向きになる方も多いんです。最近では、あえて選択的シングルマザーを目指す娘を応援したいと、母娘で相談会にいらしたり、親が費用負担するケースも目立って増えてきています」(石原さん) 

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「朝起きたとき隣に子どもがいることがとても幸せです」               

 透子さんは、着床前診断を経て残った、たった一つの受精卵を移植したところ、無事に着床し、妊娠、出産に至った。この時生まれた男の子と、今は二人で暮らしている。

「毎日、夜寝る前と、朝起きたとき隣に子どもがいることがとても幸せです。あのとき行動しなければこの子がいない未来もあったんだなと思うと、しみじみ有難いです」と透子さんは話す。

©maruco/イメージマート

険悪だった母も「全面的にサポートしてくれるように」 

 日中、子どもは保育園に預け、自身は時短勤務で働く。子どもの病気など突発的なことが生じた場合は、自治体の一時預かりを利用したり、実母に預かってもらっている。

「母には、選択的シングルマザーになるという気持ちが固まり、ミラクルベビーと契約する直前に自分の意志を伝えました。当初は猛反対され、渡航時は絶縁も覚悟するほど険悪で精神的にもどん底でしたが、いざ妊娠してからは全面的にサポートしてくれるようになり、今では子どもをとてもかわいがってくれています」