「岡山にとっては『宝』のような方」
順宮厚子内親王は1931年3月7日、昭和天皇と香淳皇后の第4子として生まれた。
「21歳だった52年、旧岡山藩主の池田家当主・隆政さん(2012年没)と結婚。皇籍を離脱し、池田厚子さんとなって岡山市に移住しました」(皇室ジャーナリスト)
以来、72年の時が過ぎている。
「池田家の生業は牧場運営。天皇の娘が地方で『牧場主の夫人』になるのは当時、異例のことで、『お国入り』の際は市民パレードもあったそうです」(同前)
厚子さんは2017年まで伊勢神宮祭主の役目も担う一方、結婚後に開設した池田動物園の運営に携わり、夫亡き後は園長を務めてきた。子供はおらず、池田家の後継ぎは未定だった。
岡山の老舗商店主が語る。
「岡山にとっては『宝』のような方です。以前は後楽園で厚子さんを囲む『園遊会』もあった。ただ、ここ数年はお姿をみません。動物園の敷地内にご自宅があり、お手伝いさんに身の回りを任せているそうです」
野津家と池田家は、先々代の頃からの付き合い
その厚子さんと養子縁組をしたのが野津基弘氏(52)と妻の阿久利氏の実業家夫妻である(なお野津氏は縁組後に池田基煕と改名したが、時制が前後する本記事では野津氏と表記する)。
野津氏は食品企業グループ「日本カバヤ・オハヨーホールディングス」の代表者(CEO)だ。学校経営など幅広く手掛け、売上高は連結1200億円にのぼる。岡山県を代表する企業グループであり、野津家をトップにいただく非上場企業でもある。
「傘下の『カバヤ食品』では駄菓子『ジューC』が有名。『オハヨー乳業』も『ジャージー牛乳プリン』などヒット商品多数です。ただ、HD名にも冠して主力だった『カバヤ食品』の資本の70%を今年売却したと報じられ、経営の異変も見てとれます」(経済部記者)
米「ザ・オックスフォードアカデミー」卒業後、父の跡を継ぐ形で経営に参画。グループ各社の社長を経て、16年に持ち株会社に移行してトップに就任した。
「野津さんは大グループを継いだ地場の有力者です。奥様の阿久利さんは古風な美女で、お子さんはいません」(岡山の財界人)
野津家と池田家の付き合いは長い。
「先々代の頃から野津家とカバヤが、池田動物園に資金援助などをしてきた。現在も動物園の役員に野津氏やカバヤ系の人物が名を連ね、実質的な影響下にあります。一方、動物園は億単位の資金難で、池田家や厚子さんが私財で補ってきましたが、立て直しが課題です」(同前)
全くの他人とはいえ、経済的な縁から養子縁組にも至った、というのだが――。