直筆の細工、野津氏の振舞いについてはこう答えた。
「厚子様に、お送りするご挨拶文とお手紙について、ご確認とご了承を頂いたものをお送りしております。厚子様から頂戴しましたお手紙をご挨拶に添えており、文章そのものを改変したものではありません」
「(植樹祭前後の言動は)事実ではありません。(親戚の懸念は)親戚の方々からはお祝いの言葉を頂戴しております。(旧華族の重鎮らの懸念は)そのような声は届いておりません。根拠のない誹謗・中傷に対しては厳選(ママ)に対処する所存です」
一方、宮家への“直筆”送付や天皇の厚子さん訪問時の対応について宮内庁に問うと、こう回答があった。
「お答えは差し控えます」
岡山県にも植樹祭での野津氏の要望について質問すると「個別の参加申込みや問合せ内容については、公表しておりません」と言うのみだった。
小室さん騒動の再来か
厚子さんは何を思うのか。岡山市の山のふもとにある池田動物園内には、今も園長である厚子さんの居宅があるという。記者は取材の最後に訪問した。
小雨そぼふる中、人出もほとんどない園内を抜けると、山肌に立つ瀟洒な建物が現れる。インターホンも見当たらず、庭を掃除していた女性に声をかけた。
――厚子さんにお伝えしたいことがございます。
「私たちには分かりません。動物園の事務所に」
事務所に来意を伝えると、園の担当者から電話があった。
「直接お会いいただくことはできません」
翌日、園に手紙を持参して改めて面会を願い出たが、音沙汰はなかった。
園そのものが野津氏やカバヤの影響下にある以上、厚子さんの意思を第三者が確認する術は非常に限られている。
折しも、結婚後の女性皇族の身分保持や旧宮家の皇籍復帰など、皇室制度の見直しが議論されている。小室圭さんと眞子さんの結婚を巡り、親類の金銭トラブルなどが騒動を呼んだのは記憶に新しい。降嫁した皇族にまつわる今回の不可解な動きは「第二の小室さん騒動」ではないのか。
類例を見ない結婚ではあったが、小室さん夫妻は互いの意思で結ばれた。ひるがえってこの養子縁組はどうか。
厚子さんの真意は、工作の痕跡も生々しい、偽装された直筆にあらわれうるものなのか。皇室への接近の野心を隠さない野津氏には、真相を語る責任がある。
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