パンデミックによる音楽業界の変化
時期的には、新型コロナウイルスのパンデミックによって社会が停滞を続けるなかだった。それはけっして偶然とも言い切れない。周知のとおりそのウイルスは、音楽ライブやテレビ番組の制作などを難航させた。とくに大きなダメージを受けたのは握手会などに力を入れていたAKB48などの女性アイドル勢で、対面コミュニケーションを中核に据えていた女性アイドルのビジネスモデルは、この環境変化によって破綻を迎える。
しかしいま思えば、巣ごもりを余儀なくされていた我々にとって、この時期は音楽(楽曲)と素直に向き合える環境にあった。つまり、楽曲そのものの価値が再評価される契機となった。そこでしっかりと見出されたのがYOASOBIだった。
日本アニメへの評価とともに高まったYOASOBI人気
「夜に駆ける」の大ヒットを経て、YOASOBIはその後もコンスタントにヒットを重ねていく。その次の大ヒットは、はじめて『紅白歌合戦』に出演した直後の2021年1月に発表された「怪物」だった。
この曲はアニメ『BEASTARS』シーズン2の主題歌として発表された。映画とのタイアップは前年にも存在したが、アニメはこのときがはじめてだ。ここからYOASOBIとアニメの強い関係が進展していく。翌2022年の大ヒット作「祝福」は、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』シーズン1の主題歌だった。
そして、この流れがさらに加速するのが2023年だ。この年、『【推しの子】』の主題歌「アイドル」と『葬送のフリーレン』の主題歌「勇者」を発表し、ともに大ヒットを記録する。