――人によって鍛え方が違う……!
小林 たぶん白田と僕の胃の柔軟性がそもそも違うんだろうなと。白田は大きいけどちょっと硬いんですよ。僕は白田より小さいけども、最初からちょっと柔らかいんだと思うんですね。だから伸びやすい。たとえて言うなら、僕は伸びやすいゴムで白田は伸びにくいゴム。白田はより時間をかけないと伸びなかった。
大食い番組をめぐって社長同士がバチバチに?
――さすがライバル。知り尽くしていますね。
小林 白田とは特に仲が良くて、今でもよく会いますしね。ただ、当時のことで言うと、テレビ局同士の関係はもっとシビアだったのかもしれません。これ本当なのかどうかわからないですけど……。
大食い番組全盛期だった2001年、『TVチャンピオン』のテレビ東京の社長が、『フードバトルクラブ』のTBSの社長に「大TBSが小テレ東のまねをするのはいかがなものか」みたいなことを言ったという記事が週刊誌*に出ましたもんね。番組のスター選手をTBSが引き抜いたとも書かれていて、そこに僕の写真が載っていいて。実際、僕は別に引き抜かれたわけではなくて、大会に出たいだけだったんですが。
*「週刊朝日」2001年12月21日号「大食い番組パクるな TBS社長にかみついたテレビ東京の『意地』」
――すごいな、社長同士がバチバチになるコンテンツなんてなかなかないですよ。
小林 以前視聴率ランキングの番組に声かけられたことがあるんですよ。僕が『フードバトルクラブ』で食べている瞬間が視聴率がめちゃめちゃとれたから、と。それぐらい数字があったんですよね、当時は。
ちなみにその番組は、スタジオで食べてくださいというオファーだったんですが、僕は大会が近かったので「すみません、食べるんだったら出ません」って断ったんです。結局僕の代わりに白田が出たんですけどね(笑)。「俺で数字とったって言ったのになんで白田が出るの?」って思ったら、白田の食べるシーンも高視聴率だったようで。僕が出ようが白田が出ようがどっちでもよかったのかな(笑)。
「大食いタレントのイメージがつくんじゃないか」抱えていた葛藤
――大会までの準備期間に入ると、それくらいストイックになるんですね……。
小林 そうですね。今はもっと余裕ありますけど、あのときは本当に勝つことが大事だと思ってたので。結局勝つことだけが自分の強いボイスになる、発言力が上がると。あとやっぱりアスリートでいたいという気持ちが強いから、あまりバラエティのほうに寄っていっちゃうと、大食いのタレントのイメージがつくんじゃないかという怖さがありました。
――自分は大食いタレントではないと。
小林 そうですね……。アスリートというイメージで出れるものだったら全然出たかったですよ。スポーツ関係の番組とか、ドキュメンタリーとしてちゃんと話せるものだったら。ただやっぱりバラエティが多かったですね、オファーは。