ふたりは恋に落ちる

 時は遡って1969年。クリストファーはロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの学生だったが、過激な政治思想から学業を捨て、近くにあった日本料理店で皿洗いの仕事を始めた。そこで出会ったのが、日本人女性のミコ(Kōki,)。日本人への恨みがいまだに残る時代のロンドンに来た移民で、流暢な英語を話し強く生きるが、どこか憂いを帯びている。移民という複雑な事情を抱えた女性を演じたKōki,を、「彼女には、無邪気さと強さの一方、傷つきやすく繊細な面があった」とコルマウクル監督は評する。

©2024 RVK Studios 配給:パルコ ユニバーサル映画

「外から来た人の方がクリアに見えるものです。私は彼女がこれまでどういったことをしてきたか知らなかった。早い時期にキャスティングディレクターが送ってくれた3人のうちの1人で、強く印象に残っていたのがKōki,でした。彼女だったら、ふたりはきっと恋に落ちると。単に美しいだけではない、別の顔を持っている。カメラに愛される俳優、きっと国際的なスターになると私は思います」

 若き日のクリストファーには、コルマウクル監督の息子であるパルミ・コルマウクルが抜擢された。

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「他のふたりの息子と違って、彼は俳優にならないと思っていたので、監督と俳優としてプロフェッショナルな仕事がともにできたのは嬉しかった。何より、Kōki,との相性がよかった。ふたりがとてもいい関係を築いてくれたことで、作品を高めてくれました」