国鉄時代から設置されている駅スタンプのキャッチコピーは「朝日が一番早い納沙布岬の街」。ここが本土最東端の納沙布岬への玄関口であるとのフレーズが、“東の果て”感の演出に一役買っている。
根室駅から1.5km、所要3分で「真の最東端駅」へ
根室から東根室までは距離にして1.5km、列車での所要時間はわずか3分に過ぎない。根室に滞在していれば、わずかな時間を作るだけで日本最東端駅への列車の旅が可能なのだが、根室発の上り普通列車は1日6本だけ。
しかも、日中の列車は全て、根室に到着した下り列車が少し休憩してそのまま釧路方面の上り列車となって折り返す運行ダイヤなので、どの列車で根室から1駅だけ乗って東根室まで行っても、その後はしばらく下り列車がやって来ず、根室駅に列車で戻るには必ず2時間以上待たなければならない。
とはいえ、私が初めてこの区間に乗車した平成4(1992)年7月当時も、東根室に停車する上り列車は今と同じ6本。
当時の下り列車は東根室を通過する快速が多く4本しか停車しなかったので、5本の下り列車が停車する現在のダイヤは、理屈の上ではわずかながら乗降機会が増えていることになる。
その後、平成29(2017)年と令和4(2022)年の夏に根室本線で根室を訪れたときにも、いずれも限られた列車のスケジュールの中で時間を捻出して、東根室駅を列車で訪れている。
東京に住んでいながら東京都内の駅でさえ一度も乗降したことがない駅がたくさんあるのに、日本で最も東の果てにあると称する小さな駅を3回も訪ねてしまうのだから、「日本最東端の駅」という称号が、それだけ東京の住人である私への訴求力を持っていたのだろう。


