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もうすぐ廃線「留萌本線」“最後の日々”〈1日平均乗客数が2人以下の途中駅、潮風で朽ちた外壁…〉

2023/02/25

genre : ライフ, 歴史, , 社会

 この春も、また北海道から鉄道路線が消える。

 旭川の西方約30kmにある深川駅から北西方面に線路を延ばし、日本海沿岸の港町・留萌まで通じている留萌本線は、途中の石狩沼田までの14.4kmを残して、留萌側の35.7kmが今年3月いっぱいで廃線となる。残存する石狩沼田までの区間も、令和8(2026)年に廃止することでJR北海道と地元自治体が合意している。

 北海道ではここ数年、利用者の減少によりローカル線が少しずつ廃止され、今後の廃止計画が頻繁にニュースになっている。平成25(2013)年以降の10年間で姿を消した日本全国の鉄道路線のうち、JR北海道は5路線238.5kmで、全体のほぼ半分を占めている。その中には、平成28(2016)年に廃止された留萌本線の留萌~増毛間16.7kmも含まれている。今回の留萌本線の一部廃線は2回目だが、3年後に3回目の廃止を迎えて完全消滅することまであらかじめ決まっている、というのは珍しいパターンだ。

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 余命1カ月余りとなった石狩沼田~留萌間は今、北海道らしい雪景色に覆われ、時には大雪で運休も余儀なくされている。雪のない爽やかな季節の車窓は、もはや過去の写真や映像でしか見ることができない。そしてまもなく、雪景色の車窓も記憶の中のものになろうとしている。

1番列車は地元客が3人、鉄道ファンは13人

 ふだんはガラガラで利用客が少なかったローカル線でも、廃止時期が近づくと、名残りを惜しむ鉄道ファンが全国から押し寄せてラッシュ状態になる、というのは昭和の頃から変わりがない。ふだんからこれくらい観光客がたくさん乗っていたら廃止にならなかったかも……と思わずにはいられないのも、毎度おなじみの感傷である。

 留萌本線も、コロナ禍以前からJR北海道と地元自治体との間で存廃を巡る議論が行われており、近いうちに廃止されるかもしれないとの認識が広まるにつれて、遠方からはるばる乗車しに来る鉄道ファンが増えていた。

 自分だってその1人だから、混雑する列車に不満を言う資格などないのだが、勝手ながら、純粋な旅行者の立場としてはやっぱり車内は少しでも空いている方がいい。そういうわけで、雪化粧前の最後の車窓を早めに楽しむべく、昨年9月、深川5時44分発の1番列車で留萌を目指すことにした。この時期の北海道ならすでに明るい時間帯である。

深川発留萌行きディーゼルカー(深川)
5時44分発1番列車の出発前(深川)。さすがに乗客の姿は少ない

 果たして、早朝5時半に深川駅4番ホームに停車していた1両編成の留萌行きディーゼルカーの乗客は16人。そのうち地元客と思われる乗客は3人で、私を含む他の13人は留萌本線に乗りに来た旅行者だった。

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