もともとは根室駅が最東端の駅。延伸した理由は…
駅の周辺は住宅地になっている。もともと大正10(1921)年に釧路からの路線が根室まで延伸してきた当時は、終点の根室駅が日本最東端の駅だった。
それが、第2次世界大戦後に根室市の住宅地が拡大したことから、昭和36(1961)年に現在の東根室駅が開業したという経緯がある。そのため、駅の四方を無人の荒野が取り囲むような、北海道らしい最果て感は薄い。
このような立地にもかかわらず利用客が減少して駅の廃止という事態に至ったのは、自家用車の普及に加えて、市街地からさほど遠くないがゆえに市内バスの利便性が高いことも一因とされている。
JR北海道によれば、平成31・令和元(2019)年から令和5(2023)年までの1日あたりの利用者平均は7.8人とのこと。
北海道にはもっと利用客が少ない小駅が他にもあるのだが、人里離れた山奥の駅ならともかく、これだけ駅周辺にまとまった数の住民がいるにもかかわらず1日7.8人しか利用しないということは、純粋に、他の交通手段との競争で後れを取った結果と言わざるを得ない。
観光地化されなかったがゆえに“最果て感”が残り続けた
東根室駅の場合、「日本最東端の駅」という、他の無人駅にはない独自のセールスポイントも、有効に活かしきれていない気がした。
JRの東西南北の果ての駅のうち、最南端駅である鹿児島県の指宿枕崎線・西大山駅は、東根室駅と同じく片面ホームの無人駅で、駅周辺はこの東根室駅よりも人家が少ない。
私が初めて西大山駅を訪れた平成6年の時点では、「日本最南端の駅」の記念碑が建つ無人のホームは、鉄道愛好家以外には訪れる人がほとんどなく閑散としていた。
ところが、今ではホーム前の空き地が広めの駐車場として整備され、国内はもとより海外からの観光客も「JR日本最南端の駅」を訪ねて大型観光バスでやってくる。

