Sはそれまでの上司と違い、自分で仕事をほとんど受け持たなかった。営業が10個仕事を持ってくると、Sが受け持つのは1〜2個で、残りはAさんと派遣社員に割り当て、Sは定時で帰る。

派遣社員も定時で帰るため、Aさんが残業するとSは「なぜそんなに時間がかかる!」と叱責する。しかし、Aさんが仕事を残して退勤すると、Sは「なぜ仕事を残して帰る!」と叱責する。SはAさんに「今日は何時に終わるのか?」と尋ね、Aさんが「22時です」と答えると、「ギュッとやって19時に帰れ!」と不可能な時間を指定する。翌日、SがAさんの日報で指定時刻よりも遅く残業していることを知ると、厳しく叱責。悩んだAさんが日報に作業時間を短めに書くと、SはAさんを「犯罪者だ!」と罵倒する。

Sは、自分の中で独自のルールを作っており、それは前任の上司とは全く違うものだった。

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Aさんがあるクライアントと直接メールでやりとりしていると、「営業を通してやりとりしろ。ルール違反だ。お前は俺を馬鹿にしているのか!」と叱責し、Aさんが「このクライアントは前任の上司の時代から、このようなやり方でやっています」と説明しても聞こうとせず、「お前のミスだ!」と言い放つ。

「お前は嘘つきだ」「卑怯だ」と罵倒

Sは一度叱責を始めると、派遣社員にも、「お前もAが間違っていると思うだろう」と同調を強制しつつ、大声で2時間、3時間と続ける。過去、Sの長時間の叱責で倒れ、救急車で運ばれた社員もいたほどだった。

Sは、「もしお前のせいで会社に何千万と損害が出たら、賠償できるのか」と脅迫する。「お前は嘘つきだ」「卑怯だ」「俺を馬鹿にして腹の中で笑ってる」と人格を批判する。

直立不動で涙を流しながら叱責を聞くAさんに、「その涙も嘘としか思えない」とさらに罵倒する。Aさんの顔を見て、「なんだその目は、文句あるのか」「恨めし気に見つめやがって」「小馬鹿にした顔しやがって」と表情を批判する。果ては、「大阪は食い倒れとか言って馬鹿。大阪弁は嫌い」「お前の前の職場や上司はろくでもない」「お前の嫁さんは世間知らずのオタク」と、出身地や前職や家族まで罵倒する。