明らかに「指導」の範囲を逸脱していた。

ついに自殺を考えるように…

SはAさんに、「営業と馴なれ合うな」「営業が努力をしないせいで、なんで制作が余分な作業をしなければならんのだ!」「営業の言いなりになって甘い顔をし、便利に使われているお前が悪い!」「営業に面白半分な批判をされたら、毅然とした態度で抗議し、謝罪させろ。見逃せば、お前も同罪と見なすからな」と脅していた。

そのため、Aさんは口頭で営業一人ひとりに、Sが言う「営業への苦言」を伝達し、代理店の社員全員が閲覧する日報にも、苦言を書かされた。Aさんは、それまで雑談をしたり一緒に飲みに行ったりしていた営業社員たちから、話しかけられることも飲みに誘われることもなくなり、社内で孤立していった。

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13年12月、Aさんの言動や業務の進め方が思い通りにならないことに業を煮やしたSは、「今までのお前のミスやルール違反を上に知らせず、俺のところで止めているから、辛うじてお前の首は繋がっているんやぞ! お前のミスを明らかにしてやろうか! 今までのミスを俺が明らかにすれば、お前クビぞ! 脅しじゃなかぞ! リーチかかっとるんやぞ!」と叱責し、Aさんのクビを示唆した。この時Aさんは、1回目の自殺を考えた。

14年7月初旬、Sは、スケジュールを即答できなかったAさんに、「何度言っても『わかりました』という返事ばかりだ! お前は素直なフリをしているが、素直そうなその返事も俺には嘘としか思えない! 嘘をつく奴に仕事は任せられない! 毎日のスケジュールミーティングからお前は外す! スケジュール管理という業務をさせんということは、それ相応の処遇になるということやからな! 覚悟しとれ!」と叱責し、再びクビを示唆した。この時Aさんは、2回目の自殺を考えた。

妻が「もう頑張らなくていいよ」と声をかけ、休職

14年7月11日、Sは、Aさんへの叱責がエスカレートし、いつもにも増して酷い暴言を吐いた末、「今後もうお前の報告は聞かん! 勝手にやれ! 俺は知らん! 何かあれば、お前が全責任を負え!」と言った。