「助成金一時停止」の情報が洩れ、市民はパニックに…

 1月28日、スティーブン・ミラーはCNNに登場し、番組ホストのジェイク・タッパーと8分間にわたって口論を繰り広げた。

 前日にトランプ政権が政府による助成金を一時停止するとした内部メモが出回り、大騒動となったためだ。助成金は数百のプログラムに使われているが、そのうち低所得者への食費補助(SNAP=フードスタンプ)、高齢者や低所得者が対象の公的医療保険(メディケア、メディケイド)などが停止されるのかと、受給者がパニックに陥った。

 SNSには「フードクーポンがなくなれば、どうすればいいのかわからない」と泣きながら訴えるシングルマザーのポストもあった。同日午後にはいくつかの行政サービスのウェブサイトがダウンし、市民の恐怖に輪を掛けた。

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ミラー氏(左)とトランプ氏(右)。中央はトランプの娘・イヴァンカ(ミラー氏のXより)

非正規移民への蔑称を口にした

 この混乱について、ミラーはSNAP、メディケア、メディケイドなど「個人が直接利用する行政サービス」に影響はないとしたが、低所得家庭の幼児が対象の3~4歳児幼稚園(ヘッドスタート)、高齢者への食事配給(ミールズ・オン・ホイールズ)は運営機関への資金が停止される可能性があり、すると市民がサービスを受けられなくなる。ヘッドスタートの停止は子どもの教育停止だけでなく、親が託児所を手配できない場合の失職をも意味する。

 この点について食い下がる番組ホストに苛立ちを見せたミラーは、最後に「われわれが助成金を止めなければ左翼とNGOが 『イリーガル・エイリアン』(非正規移民への蔑称)のために使う」とまくし立て、ホストはここでインタビューを打ち切った。

ミラーの徹底した非正規移民排除の意思

 やはり前日、政府は全米に約200万人いる連邦職員に「辞職するなら8カ月分の給与を出す」とするメールを送信しており、これも騒ぎとなっていた。ミラーはCNNでの口論の最中に「連邦職員の98%がカマラ・ハリスや他の左翼候補者に献金」「キャリア連邦職員の圧倒的多数は極左、左翼」と口走った。人件費削減が目的の連邦職員への辞職勧奨が「左翼職員」の追放に転化している。その理由は、ミラー自身が叫んだように非正規移民の援助には1セントたりとも使いたくない、だ。

 つまり、ミラーは徹底したゼノフォビア(外国人嫌悪)であり、トランプの意思を成文化する際、そこにはミラーの強烈な非正規移民排除の意思が盛り込まれているのだと言える。