たた 22歳でコンビニオーナーになったんですが、当時の僕はオーナーになる夢を叶えたことで、次の目標がなくなってしまったんです。それまでは勉強して、いい学校に入って、働く場所を見つける――そのレール通りに生きていればよかったんですが、その先の人生が描けなくなりました。結婚して、子供を持つ未来がゲイの僕にはありえないからです。120キロに激太りしたのもそのころでした。
夢を叶えたし、お金を稼げるようにもなった、次は何をすればいいんだ? そんなとき気晴らしに二丁目に行ってみたら、自分と同じ悩みを抱えている子たちをいっぱい見かけて。みんな二丁目にいる間は、めちゃくちゃハッピーなんですよ。でも、そこから出ると、マイノリティである自分を偽る日常に戻らないといけないから、最後は切なさしか残らない。
それって寂しいじゃないですか。僕や二丁目で働く子たちが抱える苦しみをなんとかしたい、そんな思いからSNSで発信を続けています。
「明るい未来」を想像できないゲイの世界
──二丁目も決して、自由で生きやすい場ではない。
たた もっと悲しいのが、二丁目って付き合う相手のルックスに対してシビアなんです。僕も初めて二丁目に行ったときは痩せていたからチヤホヤしてもらえました。ところが太ったあとに行ったら、誰も相手にしてくれない。そのとき「中身は同じ人間なのに、外見が違うだけでこうも扱いが違うんだ…」ってショックを受けて。実際、ほかのゲイ仲間を見ても、歳をとったり、太ったりしただけで相手にされなくなった子は多くいました。
──たしかに、それだと明るい未来が想像できません。
たた まったくできないです。二丁目には40~50代のゲイもいるんですが、お金を払って若い子たちに相手をしてもらっている人もいます。端から見ても、ヘルシーな関係じゃない人も多いんです。でも彼らからしたら、二丁目のほかに出会える場所もないわけじゃないですか。
二丁目で若い子に貢いで刹那的な時間を過ごすか、外の世界で自分を偽って生きるか。中にはそうした状況が苦しくて、命を絶ってしまう子もいます。このゲイが不自由で、幸せを感じづらい状況から、みんなで抜け出したい。
