この部分を同じ日付の毎日新聞(以下、毎日)は次のように書いた。
西宮市浜の元ゴム会社社長・武川治氏の娘で宝塚の聖心女子学院と新宿区下落合の聖母短大を卒業。BOACに入社してすぐロンドンの本社へ講習を受けに行き、2月27日帰国した。13日には最初の仕事として香港行きの飛行機に乗ることになっていた。
知子さんが以前同居していた親類の世田谷区松原町377、BOAC東京営業部長・長谷川五郎さんの話では「夜遅くなる時でも必ず連絡があり、まじめな娘だった。飛行機に乗り組むことになって大喜びしていただけに、自殺は全然考えられない」と言っている。
毎日の見出しも「スチュワーデス怪死 初飛行を前に 他殺の疑いも」。浅い川にあおむけに浮かんでおり、衣服に乱れがなかったことから、当初は自殺とする見方もあった。発覚が10日朝なのに、第一報が11日付夕刊になったのはそのためだろう。
その中で読売新聞(以下、読売)は「死因と家を出る前後の事情に自殺とは思えない不審な点がある」として、見出しから「スチュワーデス殺さる?」と一歩踏み込んだ。12日付朝刊になって殺人事件の見方で固まり、朝日は「スチュワーデスは殺された」、毎日は「『他殺』で捜査開始」が主見出し。読売はここでも「首をしめられた?」と一歩先行した。
ただ、記事の内容はいずれも現場付近で女性とタクシーを目撃したという証言が中心で、朝日は「深夜に、はだしの女」を脇見出しに立てた。
被害者の男性関係に触れるように
産経新聞(以下、産経)は「複雑な男関係を追及」の脇見出しを立て、高井戸署が上京した父親から聞いた話として次のように書いた。

