そう教えてくれたのは、40年以上にわたってエキゾチックアニマルの専門外来を開設してきた「アニマルメディカルセンター」の病院長・中村睦氏。25年のキャリアを有するベテラン獣医師だ。

エキゾチックアニマルは多種多彩。本当は、その種ごとに高度な専門性が求められるはずだが、日本の獣医系大学では、エキゾチックアニマルの診療について教育している大学は「基本的に少ないのではないか」と中村氏は言う。

「少なくとも、私が大学の時はありませんでした。だから私は、卒業後、病院に務めながら知識を得、経験を重ねて、今に至っています。ただ、現在は、エキゾチックアニマルを診療している先生方の中に、大学での講義を持っている方もおられるので、カリキュラムに取り入れている獣医学部はあります。需要があるので、今後は増えていくのではないでしょうか」

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診療科があるのは東京大学など数カ所のみ

一方、欧米では、「エキゾチックアニマル医学(Exotic Animal Medicine)」という分野があり、高度な知識や技術、経験を有した専門医が資格を得て、動物たちを診療している。

その差は大きく、日本のエキゾチックアニマルを診る獣医師たちは、専門学会での研鑽や、「日本動物病院会(NAHA)」で欧米から専門医を招き、勉強している。中村氏もそうした機会や海外留学によって、力量を高めてきたという。

そんなわけで、日本全国の獣医系大学の病院のうちエキゾチックアニマルの診療科があるのは、現在東京大学、北海道大学、酪農学園大学、宮崎大学のみ。またエキゾチックアニマルを診療できる獣医師もまだまだ少ないのが現状だ。

獣医師でさえ、専門性を有する人が少ないのだから、ペットショップや、まして一般の飼い主が、十分な知識を持っていないのも無理はない。結果……

「種によって異なる特性を知らないばかりに、誤った飼い方から来る病気やケガといった問題を起こして、受診する飼い主さんが多いです。それで『そもそもこういう飼い方をしているから病気になったんです』と説明すると、『ネットにはそういうふうに書いてある』とか『知らなかった』とおっしゃる」