前出の中村氏は残念そうに語る。
可愛がっているつもりで虐待している例も
不適切な飼い方をされているケースは爬虫類と両生類に多い。「ヒョウモントカゲモドキ」や「ニシアフリカトカゲモドキ」のように、非常に可愛らしい見た目から「リアルポケモン」と呼ばれ、愛好家が増えている動物もいるが、それだけに心配にもなる。
「基本、自然界での生息環境に近づけなくてはならないので、一般の住宅で飼う際には、その動物の食性、環境温度、湿度など、種によっても異なる条件を満たす必要があり、より専門的な知識に加え、気配りや手間が必要です。自然界でどういうものをどういうふうに食べているのか、どういう気候で生活しているのか、人間が理解をしないと動物を健康的に生活させることはできません」
近年人気が高まっている「モモンガ」も、生活環境に特段の配慮が必要な動物だ。
「モモンガは単独で飼っている方が多いと思いますが、基本、家族で暮らすタイプの動物です。何頭かで飼わないとストレスが溜まって、人間のうつ病のような状態になり、自咬症(じこうしょう)と言って、自分の尾や足などを咬む自傷行為をすることがあります。かといって多頭飼いするのは、飼い主さんによるところ(大きなケージの用意や経済的な面など)がありますので、難しいこともありますよね」
愛くるしくて、自分にも懐いてくれているモモンガが、家族がいない寂しさからストレスを溜めているとしたら。飼い主にとって、こんな悲しいことはないだろう。また、ケージから出して、部屋の中を自由に飛ばせてみたいと考え、飼い始める人も多いが、自然環境ではありえないほど狭い室内で飛ばせたために、人工物によりケガをして病院に連れて来られるモモンガも少なくないという。
「実は虐待」を避けるために
動物を気軽に撫でたりできる「カフェ」があちこちにあるが、ハリネズミのような被食動物(自然界では捕食動物に食べられる側の動物)は基本、逃げたい、隠れたい性質があるので、明るい場所で不特定多数の人に触られるのは大変なストレスになる。