ハリウッドでも再現できない“爆発”

深緑:爆発の表現に興味があると仰っているインタビューを拝見しましたが、その時から爆発の面白しさを感じてらしたんですか?

野島:それは今話したこととは別の話で、3D的な爆発のことです。いまだにCGで作る爆発の映像って開拓の余地しかないっていうか、全然駄目なんですよね。ハリウッド映画でさえ、あまりよくない。結局、『ミッション:インポッシブル』とか見ても、本物の爆発を使っているんです。CGのほうが圧倒的に楽なはずなのに、それでも本物の爆発でやっている理由は、まだCGでは爆発を完全に再現できていないからだと思っています。それで「爆発面白い、奥が深すぎる」ってなって、インタビューでもそう答えたんです。

『スタッフロール』深緑野分(文春文庫)

深緑:爆発は基本のように見えて奥が深いんですね、面白いです。私は90年代の映画を見ていて、特にああいう時代は爆破のシーンって本物でパイロテクニクスの専門家もいますからね。

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野島:爆発って煙と明るい火の部分が合わさっていて、炎と煙、どっちかだけじゃ駄目なんですよ。肝になるのが、温度の変化に合わせて炎がどういう光り方をしていくのか。CGの爆発で「実写にしか見えない」と思うようなものはまだ見たことがないです。