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シミュレーションは数学ではなくパッションで
深緑:『ゴジラ-1.0』の海の表現はすごかったですけど、海はもう現実に近くなっていますか?
野島:海はそんなに複雑な要素がないので、爆発よりはかなり本物っぽいですね。白波の飛び方とか光の拡散の仕方とかを考えると、また色々ありますけど、爆発ほどは難しくないです。
深緑:爆発は空気があるから光の再現が難しいんですか?
野島:動きと光り方の影響が激しすぎるというか……。煙の色も、炎が不完全燃焼していくにつれて煤に変わって黒くなる瞬間があったり、元々あった煙が融合したり、超複雑な動きをするんです。水は、波と波が合わさってもまた水になって別のことは起きない。白波が発生するだけ。
深緑:爆発をCGで表現する場合の基本は、海と同じく流体シミュレーションですか?
野島:はい。でも煙系で扱うデータは水とは全然違って難しいですね。
深緑:そこまで行くと、もう自然を研究しているみたいに思えてしまいますけど、学者さんとかに聞いたりはしますか?
野島:大学の研究でやるようなシミュレーションだったら、専門家の研究が必要だと思いますが、エンタメなので映像的にそれっぽければ大丈夫です。むしろガチの研究を使っても、映画のオーダーに適したものになるのか分からないですよね。「もっと迫力が欲しいんだよ!」ってなるかもしれないし。