プレイにも技術がいる
そんなとき、近くにマットヘルスの新店がオープンすることになったので、最初の店は二カ月でやめて、新しい店でオープニングキャストとして働くことにした。
その店は運営がしっかりしており、スタッフが女性をとても丁寧に扱ってくれた。出勤の際の出迎えはもちろん、退勤の際には、スタッフが玄関に靴を揃えて出して、見送ってくれた。
マットヘルスとは、ソープでおこなわれている「マットプレイ」(全面にローションを塗ったエアマットの上で、女性が客に密着して洗体や性的サービスをおこなうこと)を売りにしているヘルスである。マットプレイは、女性側にも高いスキルが要求される。緑さんも最初は思うように指名が取れず、お茶を挽く日が続いたという。
「マットプレイを覚えるのは大変で、1年間はお茶挽きでした。最初の講習で、マットプレイの手順はきっちりお店のスタッフから教わるのですが、細かいところはオリジナリティが必要になります。動くスピードや圧力、密着度合いなども、お客様の満足度にすごく影響します。なるべくお客様に接している身体の面積を増やしたり、ゆっくり動いたほうが気持ちいいとか……。あとは心遣いですね」
そんなとき、風俗講師の女性が発売しているマットプレイのスキルを磨くためのDVDがあることを知り、すぐに購入。DVDを観ながら、抱き枕を相手に練習を重ねて、一生懸命に技術をコピーした。最終的には自分で練習用の「マイマット」を購入し、スキルの向上に励んだ。
緑さんは週に1回しか出勤していなかったが、講師の女性が「出勤しない日も、ブログは毎日アップしなさい」と言っていたので、毎日ブログをアップした。ブログのアップにもコツが必要で、ただ露出度の高い写真をアップすればいい、というわけではない。
「エッチなことと面白いことをかけ合わせた内容を、エッチな写真と一緒にアップする、ということを心掛けていました。次第に、ブログを見たお客様が興味を持って会いに来てくださるようになりました。
お客様は、仕事で一生懸命働いて稼いだお金を持って会いに来てくださる。それを考えると粗末には扱えない。時間いっぱいにサービスをしたい、と考えていました。
お客様の中には、意地悪な方や怒ってしまう方もおられますが、それには必ず原因がある。その原因をケアすると、笑ってくれる。しかめっ面しかしない人も、心を開いてくれるようになります」