こうした努力の甲斐もあり、毎回店に出勤する時点で、既に「完売」(出勤時間がすべて指名客からの予約で埋まっている状態)になった。9時半から16時半までの間、食事を取らずに接客して、1日で5万円程度を稼ぐことができた。
「理容師の収入8万円と、マットヘルスの収入が毎週5万円×4=20万円あれば、十分に生活できました。田舎なので、そんなにお金はかからないし。私は本業の休みの合間に稼ぎたかったので、出勤を週1回以上増やすことはしませんでした。
風俗の仕事は、脱ぐか脱がないか、というだけで、意外と普通の職業と変わらない。私は人に何かをしてあげるのが好きなので、本業の理容師よりも天職だと感じていました。接客業の勉強にもなるし、充実感もありました」
店自体も急成長し、オープンの時に10名だった女性は、50名を超える人数にまで増加した。男性客も、若者からシニアまで、幅広い層が来店した。
「マットヘルスで働く女性の中には、覚悟を持って働いている人もいれば、小遣い稼ぎのような気分で、サンダルにスウェットで出勤してくる女性もいました。
一方で、覚悟を持って働いている人は、指名もたくさん入り、忙しくされていました。仕事への意識や覚悟の有無で収入は変わる、ということを学びました」
生活のために、もう一度性風俗業へ
24歳で、理容室のお客として知り合った年上の男性と結婚。それをきっかけに、マットヘルスの店はいったんやめた。
夫との間に子どもが3人生まれ、仕事と育児で忙しい毎日を送っていたが、緑さんが31歳のとき、夫が失業。収入が途絶えてしまい、どうしたら稼げるかを考えた結果、もう一度、以前勤めていたマットヘルスの店に戻ることにした。
二十代のときと同様、本業の合間に週一回だけ、子どもたちを保育園に送ってから出勤した。家族との関係自体は良好だったので、決してバレることがないように、隠し通した。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。