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──授業を受けるだけでも簡単ではなかった。
北條 授業中も、先生の板書を写すのが間に合わないんです。だから部活が終わって帰宅した後、友達から借りたノートの内容を写して、次は宿題……とやっていたので、毎日かなりハードでした。
──部活は何をやっていたのですか?
北條 運動部に入りたいけど球技はできないので迷っていたら、先生から「走ることはできるよね」と言われて。それで陸上部に入りました。
小児がんの放射線治療の影響がまたしても…
──走るのは楽しかったですか?
北條 中学校では伴走(障害物を避けたり走る方向を示すため、視覚障害者の側に走者がつくこと)について全く知らず、1人で走ってたんです。だからときどき物や人に接触してしまい、怖い気持ちはやっぱりありました。
しかも、授業も部活も厳しいなと思うことが増えてきたところに、視力がまた下がりはじめたんです。
──何があったのでしょう。
北條 小児がんの放射線治療の影響で、私の右目のまぶたは内側向きの異形なんです。それが中2で逆さまつ毛(まつ毛が目に向かって生えた状態)になってしまい、眼球の表面が傷ついて視力が落ちてしまって。さらに後天性白内障も重なって、以前よりも見えづらくなりました。小児がん治療で放射線を限界値まで上げて照射したので、角膜がとても弱くなってしまい、黒目の中心が白く濁ってきたんです。
そういう状況で公立中に通うのが難しくなり、中3から盲学校に転入しました。

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