福岡県に住む北條みすづさん(32)は、目のがんのため生後すぐに左目を摘出、右目の視力も「調子がいい日で0.02」と弱視で、最も重い1級の障害者手帳を持っている。

 思春期には「左目があればもっとバランスがいいのに」と、強烈な外見コンプレックスに悩んだという。「どうすれば左目側を隠せるかいつも研究していた」と話す北條さんに、外見との向き合い方やメイクとの出会いについて話を聞いた。(全4本の3本目/4本目を読む

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北條みすづさん(本人提供)

──盲学校に移ってどうでしたか?

北條 授業などは楽になりました。白杖を使い始めたのもこのときからです。 ただ、本格的にオシャレに目覚めたので、自分の顔にすごくコンプレックスを感じるようになりました。

「義眼を入れていないので、周囲から好奇の目で見られることがあって」

──どういうコンプレックスですか?

北條 左目がないことが今さら気になってきたんです。摘出したのは0歳のときなので、私自身は「左目がないのが自分だ」と思っていました。でも義眼を入れていないので、周囲からは好奇の目で見られることがあって。

 それに15歳ぐらいだと、周りがオシャレをはじめるじゃないですか。私も外見を意識するようになったとき、なりたい姿と現実の自分にギャップを感じるようになりました。

──どんな姿になりたかったのですか? 

北條 小学生の頃からファッションに興味があって、中学生のときにギャル系にハマったんですよ。私、ageha世代だったので。