──大失敗?

北條 塗りすぎちゃったんです。ファンデをどれくらい肌に塗ればいいかわからず「とにかく顔全体に」と塗りたくったんですよ。そしたら顔が真っ白になって、親から「のっぺらぼう」と(笑)。そうやって失敗もしながら、自己流でメイクを覚えていきました。

現在の北條さんはYouTubeで視覚障害者向けにファンデーションの塗り方などを実演している(YouTube『ブラインジェンヌチーム』チャンネルより)

20歳で結婚、21歳で就職、しかしがんが再発…

──盲学校高等部を卒業後、20歳で結婚したそうですね。21歳で就職も決まり、あとは順調に?

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北條 そう思ってたんですけど、20代後半から徐々に体調が悪い日が増えてきたんです。10代の頃から強い疲労感や無気力、不眠症、生理不順などの症状があったんですが、20代で健康診断を受けたら、コレステロール値がケタ外れに高くて。原因がわからず悩んでいたら、知人から「がんの《アフターフォロー外来》というのがある」と教えてもらい、小児がんの治療を受けた先生のところへ行ってみたんですよ。

──完治したと思っていたがんの病院へ、また行くことに。

25歳頃の北條さん(本人提供)

北條 そうしたら、子どもの頃にがんに罹った人は、大人になって健康障害が出るケースがあると言われて。精密検査をして「下垂体機能低下症」 と診断されました。

──どういう状況なのでしょう?

北條 小児がんの治療のときに使った放射線が脳の下垂体にも当たったので、そこが萎縮していると言われました。そのせいで本来出るべき成長ホルモンなどが不足して、骨の成長が早めに止まったり、体のあちこちに影響が出ているとわかったんです。

──それは治療できるのでしょうか?

北條 ホルモンを補うステロイド剤などを飲んで、体調はほぼ安定しました。私は長年の不調の原因がわかって、心がスーッとしたんですよ。それまで「なんでこんなに体重が増えるんだろう」「どうして生理不順が続くんだろう」と、いろんな症状に振り回されていたので。……ところが29歳でまた、がんに罹ったんです。

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