私が気に入った5本
リム 今回のコンペ作品の中で、アンジェラさんが気に入った5本を教えてください。その理由も合わせて。
アンジェラ 5本?(笑) まず、『バウンド・イン・ヘブン』ですね。非常に詩的な映画だと思います。落ちこぼれた人生の孤独を、とても高いレベルに昇華して表現していました。人生のどん底にいた2人の純粋な愛情を描いた、偉大な映画だと思います。撮影も素晴らしかった。それぞれのシーンが、まるで一つの詩篇を読んでいるようでした。俳優たちの演技も、文句なしに素晴らしかった。特に女優のニー・ニーには、私は完全に打ちのめされました。
『私たちの話し方』。俳優たちの演技が圧倒的に素晴らしかったです。カメラの存在を忘れさせ、聴覚障害者と一緒に生活しているかのようなリアルさを感じました。監督が自分の価値観や判断を入れずに、さまざまな視点を客観的に描いていた点は、賞賛すべきです。
『朝の海、カモメは』。とても力強い作品でした。脚本が繊細で緻密に書かれていて、キャラクター同士の関係もよく描かれていました。頑固な退役軍人を演じたユン・ジュサンの演技が圧倒的で、映画全体を支配していました。頑固な思い、社会に対する怒り、和解しようとする葛藤などを繊細に演じていて、観客を没入させていました。
『我が家の事』。台湾の家庭倫理劇の伝統を継承しつつ、4つの異なる視点とタイムラインで、一つの家族の秘密を描いていました。構成は複雑なのに、最後にとても心を打つエンディングで全体像が浮かび上がってくる演出は素晴らしかったです。とても成熟した作りで、新人監督の作品とは思えませんでした。悲しい話ではあるけど、ところどころにユーモアもあって、とても良かったです。
『団地少女』。物語がとても素敵でした。貧しい環境の中で生きる主人公が、希望を持って描かれていました。監督は団地という空間をうまく活用して、登場人物たちの関係性と対立を的確に描いていました。この映画に親密な感覚があるのは、その「場所」をしっかり描いていたからだと思います。主演の2人の女優のパフォーマンスも、とても印象に残りました。これも完成度が高く、新人監督のデビュー作とは思えませんでした。