審査員の経験は今後にどう生きるか

リム 大阪アジアン映画祭については、どう感じましたか?

アンジェラ 観客の皆さんが、本当に映画を好きだと感じました。会場の雰囲気と映画に対する熱量を実感しました。会場に行って、たくさん映画を観ている観客が多いことに気づきました。でも、笑うところはもっとみんな笑ってもいいのに、と思ったりもしました。たとえば、ベトナム映画『トロフィー・ブライド』のようなコメディーですが、私はかなり楽しんで、いろんなシーンで笑ったんですけど、周りの人たちはあまり笑っていなかったから、ちょっと寂しかったです(笑)。

 映画のセレクションも多様で、たとえばカザフスタンの映画からは色々なことを学びました。バングラデシュ映画では、女性の生き方が描かれていて、私自身が最近関心を持っているテーマと重なって、非常に刺激を受けました。

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©OAFF2025

リム 今回の審査員としての経験が、今後の俳優としてのキャリアにどんな影響を与えそうですか?

アンジェラ 今回、一番特別だったのは、短期間に集中してたくさん映画を観たあと、「映画のどこが一番印象に残ったか」を振り返るようになったことです。特に、他の審査員と話し合う中で、それぞれの視点の違いや深さに触れることができて、すごく勉強になりました。俳優の演技だけでなく、映画全体や細かいところにも目を向けるようになって、たくさん新しいことを学べたのは、最大の収穫かもしれません。

 でも、俳優の立場に戻るときは、そういう分析的な視点や考え方は一度脇に置いたほうがいいとも思います。自分の役に集中して、100パーセント全力投球しないといけません。そして、自分が出演している映画に、ちゃんと自信を持たなければいけないと思います。

《第20回大阪アジアン映画祭授賞結果》
◎グランプリ 『バウンド・イン・ヘブン』 (2024年/中国)
◎来るべき才能賞 パク・イウン監督 『朝の海、カモメは』 (2024年/韓国)
◎スペシャル・メンション 『私たちの話し方』 (2024年/香港)
◎最優秀俳優賞 トゥブシンバヤル・アマルトゥブシン 『サイレント・シティ・ドライバー』(2024年/モンゴル)主演
◎JAIHO賞 『君と僕の5分』 (2024年/韓国)
◎薬師真珠賞 カオ・イーリン ラン・ウェイホア ツェン・ジンホア ホアン・ペイチー 『我が家の事』(2025年/台湾)出演
◎JAPAN CUTS Award 『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』 (2025年/日本)
◎芳泉短編賞 『洗浄』 (2024年/マレーシア)
  同スペシャル・メンション 『金管五重奏の為の喇叭吹きの憂鬱』(2024年/日本)
◎観客賞 『蔵のある街』(2025年/日本)

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