映画を観ながらノートにメモした“マジックモーメント”
リム 今回、大阪アジアン映画祭の審査はどのように進めましたか?
アンジェラ まず、ちゃんと寝る時間を確保しないといけないなって思いましたが(笑)、実際には本当に楽しくて、1日に何本も映画を観ても、全然疲れを感じなかった。むしろ、とても興奮していました。
審査員ですから、理性的に映画を観たり、映画の情報を調べたりする必要があるかもしれませんが、私はやっぱり感性的な人間なんです。まず映画を観て、自然に湧き上がってくるものを感じ取ることが大事だと思っています。
というのも、映画って、感性的な芸術だと思うんです。もちろん技術的な部分も多いし、理性的な準備も必要だけど、きちんとした技術を使って映画を表現したうえで、最終的には感情的なものが観客に伝わらなければ意味がないと思っています。
リム 審査員として映画を観る時、いつもと違うアプローチをしましたか?
アンジェラ 映画を観ながら、ノートにメモを取りました。どんな映画にも、マジックみたいな瞬間がたくさんあると思っていて――たとえば演技がすごく良かったり、映画の神様が降りてきたみたいに輝いて見えるシーンがあったり。そういう“マジックモーメント”を、忘れないうちにメモしていました。あとでそのメモを見返すと、映画のシーンの記憶がすぐに蘇るし、審査会議の時にもすごく役立ちました。映画館の中が暗かったので、綺麗には書けなくて、字が重なったりもしてますけど……(笑)。
それから、映画を観終わったあとには、Letterboxd(Filmarksのような映画データベース)で情報を調べたりもしました。俳優のことが気になるけどどういう人かわからない、ってときなどですね。たとえば、カザフスタンの映画。今回は2本観たんですが、言葉も文化も馴染みがなかったので、すごく興味を持ちました。作品の中で起きた事件が本当にあったことなのか気になって、調べたりもしました。映画を通じて、たくさんのことを学べました。