大阪市で3月23日まで開催されていたアジア映画の祭典「第20回大阪アジアン映画祭(OAFF)」で22日、台湾映画『我が家の事』が上映された。コンペティション部門に選出された同作は、この映画祭でワールド・プレミア。世界で初めての上映に臨んだ観客たちの前に、人気のイケメン俳優ツェン・ジンホア(曾敬驊=27)が登場した。

『我が家の事』 ©2025 Key In Films Ltd.

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台湾の「男子出産」プレッシャー

 台湾の地方に暮らす4人家族。名門大学に通う大学生の長女は、旧正月に帰省したとき、奨学金申請のために入手した戸籍謄本から、出生の秘密を知ってしまうーー。ごくありふれて見えていた家族が、少しずつ綻びを見せ、また再生していく姿を笑いと涙でつづった。

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 登壇したパン・カーイン監督は、自信を込めてこう語った。

パン監督(左)とツェン ©文藝春秋

「この映画に私が表現したかった情感は、すべて作品に込めることができたと思っています。この家族の物語を私がリアルに撮り終えることができたのは、素晴らしいキャストと努力を重ねた結果でした。私がこの映画を作る過程で考えていたことは、家族とは何だろうということです。家族であること、そしてそれを維持していくことは大変なことです。家族みんながそのために、努力を重ねていかなければなりません」

 アジアで初めて同性婚を認めるなど先進的なイメージのある台湾だが、まだまだ保守的な家族観も根強い。長女を養女に迎えた後も、夫婦はある方法によって、第2子を授かろうとする。しかしそのことが、やがて夫の心の影となっていく。

『我が家の事』 のツェン・ジンホア(左) ©2025 Key In Films Ltd.

「仮に長女が実子であったとしても、男の子を期待する周囲のプレッシャーはとても強いため、夫婦は次の子のための努力をしなければならなかったでしょう」