作品が本当に純粋で正直かどうか、深く議論をした
リム 審査会議はスムーズにいきましたか?
アンジェラ 審査会議は、私にはとても新鮮な体験でした。最初はとても緊張しました。他の審査員と意見が一致するかどうか心配だったんです。でも、思っていたよりも順調に授賞結果に辿り着けました。3人の審査員の意見がほぼ一致していてびっくりしました。私たちがそれぞれ選んだベスト5はとても近くて、違いがあったのは順位ぐらいです。映画の完成度や、ストーリーテリングに対する考え方がとても共通していました。
リム 審査会議は2時間ぐらいで終わったそうですね。
アンジェラ 本当に早かったです。映画に対して共通の認識があったからかもしれません。でも、グランプリを選ぶときには、意見が分かれました。私と一人の審査員は『バウンド・イン・ヘブン』を推しました。でも、もう一人の審査員は『朝の海、カモメは』のほうが優れていると考えていました。映画のスケールが大きくて、社会的なテーマも扱っていて、細部も豊かで、作家性が強いと話していました。そこで、この点について詳しく話し合いました。
リム 審査会議を通じて、学びになったことはありますか?
アンジェラ 視点の違いですね。意見の一致に達するために、意味のある討論ができました。お互いの観点を認め合いながら議論できたプロセスは、本当に楽しかったです。
例えば『私たちの話し方』について話し合ったときは、映画が本当に純粋で正直かどうかを深く議論しました。監督がどれだけ聴覚障害者の世界に入り込めたか、真実に触れたかどうか。この映画を通じて、聴覚障害者の中でも手話と人工内耳のような科学の対立があったことを知ることができたし、監督が観客をその「真実」に没入させることができて、この映画の本心は本当に善良であると痛感しました。