3月23日に閉幕した第20回大阪アジアン映画祭。最終日にはコンペティション部門13作品の中から、中国映画『バウンド・イン・ヘブン』がグランプリ(最優秀作品賞)に選出されるなど、各賞が発表された。今回、3人の審査員の1人を務めたアンジェラ・ユンは、香港のトップモデルとして活躍する一方、オダギリジョーと共演した『宵闇真珠』(2017)や『星くずの片隅で』(2022)などで知られる俳優でもある。旧知のリム・カーワイ監督が独占インタビューした。

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13作を4日間で観て

リム・カーワイ(以下、リム) 初めて映画祭の審査員を務められました。

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アンジェラ・ユン(以下、アンジェラ) 初めての審査員はとても貴重な体験となりました。今回はコンペティション部門の13作を4日間で観たのですが、1日に3本以上観ることって、普段はあまりないんです。私は1本観てからじっくり考えるタイプなので。映画が大好きなのでカンヌ映画祭や台北の金馬映画祭にプロモーションで行ったときにも、面白そうな映画があれば合間に観に行きました。香港国際映画祭で観客として映画を十数本観たこともあります。

リム 映画を観る時に、なにか重視する点はありますか?

アンジェラ 道徳、倫理、家庭、人間関係――そういうテーマを持つ映画にとても惹かれます。映画のジャンルや物語、監督のスタイルなどももちろん大事ですが、一番気になるのはやっぱり俳優の演技です。演技にリアリティがあるかどうかが、私にとって一番大きなポイントです。映画の形式が演技より前に出ているような作品は、もしかしたらあまり好みではないかもしれません。

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 これまでも俳優としての視点で映画を観たり、友人の映画を手伝うために脚本を読んだり、監督と編集やポストプロダクションのことを打ち合わせしたり、いろんな視点で映画に関わってきました。その中で一番重視しているのは、映画の「本心」が誠実かどうかということです。目標が高くて、野心的な映画でも、もしその本心が善良でなければ……作り手が本当に善良な人かどうか。それはすごく重要なことだと思います。昔はあまりそういうことに気づかなかったけれど、今はそういう点で映画を見分ける感覚が鍛えられてきたと思います。