もちろん、これに対して任天堂が何も考えていないわけがない。日本国内ではダウンロード版を購入すると1000円ほど安くなる(パッケージ版の実売価格を考慮した価格にしている)し、スイッチ2に『マリオカート ワールド』が同梱されたバージョンをかなり安い価格で販売する予定だ。
ただし、『マリオカート ワールド』同梱版は2025年内の限定生産であり、スイッチ2では任天堂関連のゲームソフトを格安で買えるカタログチケットというシステムは廃止される。周辺機器も値上がりの傾向があり、各種コントローラーは8000円前後から1万円ほどに値段を上げている。
旧スイッチが大きく売れた理由としては、本来であれば据え置き機なのに携帯機のように遊べるがゆえに、ひとり一台を持つといった方向性にしたからだ。ただし、もろもろの値段を上げるとそれがどんどん苦しくなっていく。廉価版の早期導入が求められるだろう。
確かにスイッチ2本体は安い。しかし世界的な値上がりの傾向に抵抗するには限界もある。もし日本の経済がより悪化していくのであれば、スイッチ2に「ハイスペックでコアな遊び」というイメージがついてしまうリスクが考えられる(そしてアメリカも状況は悪そうだ)。そうなると、旧スイッチのような伸びしろは期待しづらくなるだろう。
上記の文章を書いたあと、任天堂はアメリカにおけるスイッチ2の予約開始を延期した。これはトランプ政権の関税措置を見定めるためだそうで、もしかすると値上げがありえるのかもしれない。
となると、スイッチ2が手の届きにくい遊びになる可能性は日本だけの問題ではなくなってしまう。しかも、より大きい市場でそうなるとすれば、スイッチ2にとっては大きなリスクとなる(もちろんスイッチ2以外にも大打撃なのだが)。
コミュニケーションの安全策は堅牢か
スイッチ2の注目ポイントとしてもうひとつ挙げるのであれば、任天堂が過去に避けていたオンライン上のコミュニケーション機能に注力している部分である。
スイッチ2には「Cボタン」が搭載されており、これによって手軽にボイスチャットをしたり、ゲーム画面のリアルタイム共有が可能となっている。カメラを接続すれば、顔を映し出してフレンドと一緒にゲームを遊ぶことができる。
こういった遊びはコアなゲーム好きには極めて当たり前で、むしろスイッチ2は後発の部類といえる。家庭用ゲーム機を軽く遊ぶ層にはこういった要素はあまり馴染みがないため、意図的に狙っているのだろう。

