大林さんの撮った薬師丸ひろ子のプロモーションビデオをパクって
――途中でヒロインみたいな子が出てくる、あれはどなたですか?
緒方 あの方はもう亡くなられたんですけれども。
――ああ、そうですか。
緒方 あの子は俺と同じ年なんですよ。二十歳ぐらいで、写真集を出したばっかりの子で。
――監督が出てきてその子に「サインしてください」と迫る。あれは緒方さん?
緒方 ああ、俺だ。
――あそこはメタ的になりますね。
緒方 たぶん全部元ネタがあるんですよね。大島さんとかにも憧れてたよね。『帰って来たヨッパライ』とか『白昼の通り魔』とか。それから、寺山修司とかにも憧れてますし。そういう実験的作風というかメタ的な、それこそ石井さんじゃないですけど、映画の文法を破壊するみたいな。でも、やっぱりプロっぽさは残すみたいなね。
――あのパートで突然トーンが変わって、美少女ものみたいになる。
緒方 あれは完全に大林さんの撮った薬師丸(ひろ子)さんのプロモ映像パクった。フェチな感じとか。
――でも、悪意を感じるというか、パロディとしてやってますよね。
緒方 そういうことですよね。悪意ということで言うと、世の中に対する悪意というのはバリバリあるわけですよ。それはダイナマイトプロの当時の社会に対する恨みというか。「日本なんかなくなればいいんだよ、バカ野郎」みたいな、『十九歳の地図』的な、社会に対するね。そういういわれのない毒を吐き散らしたいみたいな。
――その匂いはありますね。女の子が爆発しちゃうんですもんね。
緒方 そうそう(笑)。
――あの作り物もよくできてましたけど。

