――そこに自分の映像の技術や知識が生かせれば、という?

緒方 作家性よりも職人性みたいなことですよね。

――CMやPVから、次にテレビ関係に広がっていったんですか?

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緒方 そうですね。それは本当に人の縁で。やっていったら収入は上がっていくし、人脈も広がっていくし。それでテレビのほうからお声がかかるようになって。

一番やったのは『驚きももの木20世紀』

――テレビ時代はどんな番組を?

緒方 『驚きももの木20世紀』(テレビ朝日系)。あれを一番やりました。

――ドキュメンタリーですか? 

緒方 ドキュメントでもあるしドラマ部分もあるし。『驚きももの木』は全部やらないといけないので。今はもうそんなことはあり得ないですけど、演出家がドキュメンタリーから資料調べから、資料映像も探して、なおかつ、再現シーンでは役者を差配して、照明さんとか撮影部さん、美術さんを呼んでいろいろやって。スタジオも仕切りますから。

――スタジオまでやるんですね。

緒方 やります。MCは三宅裕司さんと麻木久仁子さんでしたけど、打ち合わせをやって、ゲストの選定も。それは面白かったですね。そこで青木研次という相棒と知り合えて、次の映画につながっていくんですけどね。

――構成作家さん?

緒方 そうですね。青木が番組の立ち上げの時にメインディレクターで俺を呼んでくれたということですね。

――30代までそんな感じだったんですか。

緒方 僕は30代がテレビ時代ですね。最初はフジテレビの深夜のドキュメンタリーから始まって、ドキュメンタリーとか情報系ですよね。旅番組なんかもやりましたし。それがNHKの『ETV特集』、『ハイビジョンスペシャル』なんかにもつながっていくんですけれども。そういうノンフィクション系で30代はやっていって。フリーランスでしたけれども。収入もよくなった時に、やり残したのは映画なのかな、みたいなことは思うようになったんですけどね。

©藍河兼一

 

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