TikTokでバズっている「MAGAビューティ」とは?
こうした保守的な女性のあり方は今トレンドにさえなっている。それが「MAGAビューティ」「MAGAセクシー」と呼ばれるものだ。
MAGA(マガ)はトランプ大統領のスローガン「Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国に)」の頭文字をとったものだ。
MAGAビューティはそのままキャロライン・レヴィット報道官のスタイルと言っていいだろう。明るいブロンドヘアに80年代風のハッキリとしたアイメーク、特に眉毛が濃いのが印象的だ。こうしたメークスタイルは「共和党メーク」とも呼ばれる。
レヴィット報道官の下に2人の女性報道官がいるが、やはり金髪の若い白人だ。またブロンドのパム・ボンディ司法長官、ブルネットではあるがクリスティ・ノーム国土安全保障長官もよく「MAGAビューティ」の例に出される。
この「MAGAビューティ」はアメリカのTikTok上でバズっているが、どちらかと言うとリベラル目線でこの80年代風メークを古くさいと笑ったり皮肉ったりするものが圧倒的に多い。セクシーな金髪といえば、アメリカでは一昔前の白人女性のステレオタイプだからだ。
「男に媚びる女性」を登用するトランプ氏の狙い
最近はノンバイナリーやユニセックスといった男女共に楽しめるファッションがトレンドで、たとえガーリーなスタイルでも、メークはナチュラルなクリーン・ガール・ルックという時代だ。フェミニストが多いリベラルから見れば、「MAGAビューティ」は「トランプの好み=保守男性の理想の女性」「男に媚びる女性」を反映したものにしか見えない。古い価値観を押し付けているという批判の声すら上がっている。
しかし「MAGAビューティ」が注目されるのは、明らかに今、トランプのパワーが世を席巻しているからだ。「パワーブロンド」という言葉もあるが、そこには「自力で成功できる」と主張する強い保守女性たちの姿がある。彼女たちは男に媚びるというより、男性の欲望に最適化された女性像を、武器として使っているのだ。