では女性はどうだろうか? そこには若い保守女性ならではの複雑な感情がひそんでいる。
敬虔なキリスト教徒でもある
「トランプに政権が変わった今、以前に比べると希望が持てるようになった気がする」
そう語ったのは共和党支持の若い白人女性だ。彼女に出会ったのは若手共和党クラブのニューヨーク支部。TOKYO FMのニュース番組「TOKYO NEWSRADIO~LIFE~」の取材だった。この日はボランティアが30人ほど集まり、共和党が推す政治家のために選挙運動を行った。地域の共和党登録者に直接電話をかけて、支持を呼びかけるのが彼らの役目だ。
メンバーのほとんどは男性だったが、数人の白人女性も混ざっていた。彼女たちはそれぞれ自分が「保守」だと教えてくれたが、学校も職場もリベラルが圧倒的なニューヨークで、保守である自分を主張するのは簡単ではない。若手共和党クラブの最大の魅力の一つは、同じ価値観を共有する者同士、本音を言い合えることだろう。
あまり詳しい話は聞けなかったが、1人はロシア系でどうやら敬虔なキリスト教徒でもあるようだった。
アメリカで保守であることは、宗教と強く結びついている。例えばカトリック教徒や福音派の信者は、人工妊娠中絶に強く反対する立場なのはよく知られている。
トランプ大統領は第1次政権で中絶禁止を公約し、最高裁に保守判事を新たに3人送り込んだ。その結果、2022年には連邦規模での妊娠中絶の権利を覆すことに成功している。
リベラルな話をする教授に「とても居心地が悪かった」
一方、第2次政権は、公立学校でのキリスト教教育の復活を全面に掲げることで、「西洋的なキリスト教文明の復権」を訴えている。
これは多様性廃止とも強く結びついている。多様性やリベラルな価値観を「アメリカの衰退」の原因と見なしているのだ。今激しさを増すトランスジェンダーへの攻撃や、不法移民の大量強制送還も、衰退を止めるための文化戦争の一環ということになる。