DNA解析で犯人を割り出す技術に期待

 結局のところ、ゾディアックの正体は闇に包まれたままだが、なぜ、捜査当局はゾディアックを捕まえられなかったのか? 考えられる理由は様々ある。主に指摘されているのは、当時は、洗練された法医学やDNA解析技術がなかったこと、描かれたゾディアックの似顔絵がクールカットのヘアスタイルに眼鏡というありふれたルックスだったこと、ゾディアックの顔をはっきりと見ることができた生存者や目撃者がいなかったこと、ゾディアックが残した暗号文が捜査の手がかりにならなかったことなどだ。

 しかし、事件から57年が経過し、今では、先進的なDNA解析技術がある。

 米国では、家系図を遡って、DNAが一致する人物を見つけることで犯人を割り出す調査方法が注目されており、この方法で、2020年には、1976~1986年にかけて13人の女性を殺害し、“ゴールデン・ステイト・キラー”と呼ばれた連続殺人犯の正体が明らかになった。同じ方法で、ゾディアックの正体が判明する日もそう遠くはないかもしれない。その日まで、ゾディアックは米国の人々をミステリーの渦へと巻き込み続けることだろう。

最初から記事を読む 「人を殺すのが好きなんだ」「去年も子供たちを殺したよ」30人以上の被害者を生んだ全米最大の未解決事件“ゾディアック”犯行の瞬間