絶対にサインしてはいけない誓約書
――実際の退職代行の流れを教えてください。
小澤:まずご相談を受け、会社に送る書面の内容を調整します。書面の内容が整ったら会社に送り、その後電話でやり取りをして詰めていきます。
――失敗しないための注意点は?
小澤:注意点としては、退職時に誓約書にサインを求められることがありますが、内容をよく確認することが大切です。例えば、「未来永劫、世界中で同業他社には就職しない」といった無理な要求が書かれていることもあります。そういった場合は、一度持ち帰って検討するなど、慎重に対応することをお勧めします。
――退職代行は、今後増えていくのでしょうか。
小澤:退職代行は今後もなくならないと思います。退職代行を利用する人は、会社とのコミュニケーションを断絶するためにサービスを使うのです。つまり、「言っても無駄」「言うだけ無駄」という諦めの気持ちがあるからです。
――企業側が退職代行を使われないようにするためには?
小澤:企業側としては、このような状況に陥らないために、コミュニケーションを密に取ることが重要です。ただし、世の中のトラブルではどちらか片方だけが悪いケースはレアで、多くの場合はどちらも悪いか、どちらも悪くないのです。単に相性の問題ということもあります。
――退職代行依頼を躊躇っている人へアドバイスがあればお願いします。
小澤:退職代行を利用することに対して、ためらいを覚えていただきたくありません。仕事のために健康を害すことは一番良くないことだと思います。迷われているのであれば、とにかく相談の扉を叩いてみることをお勧めします。
全編をご覧になりたい方はこちら
【文藝春秋PLUS+SESSION:弁護士が語る退職代行で失敗しないために】
・小澤亜季子|弁護士
2011年3月、早稲田大学大学院法務研究科修了。2012年、弁護士登録。センチュリー法律事務所に入所し、2025年2月に独立、GK総合法律事務所を開業する。労働環境を良くするための企業側・労働者側の双方の弁護に従事。著書に『退職代行「辞める」を許さない職場の真実』(SB新書)など。




