「お父さんとお爺ちゃんが殺される!」
熊野夫婦はミユキを連れて、さっそく地元警察署に相談に訪れた。一方、祖父は別行動で、青山の自宅を訪ねた。
「お宅の息子さんに孫がお世話になっているようです。ちょっと息子さんに会わせてもらえませんか?」
「また、何か息子が迷惑をかけたんですか……」
応対に出てきた母親によると、青山は子どもの面倒も見ず、働きもせず、借金まみれで困っているとのことだった。
「親にも暴言を吐くので、手に負えない。警察でも何でも突き出してほしい」
しばらくすると、青山が「オレに何か用か?」と言って玄関口に出てきた。祖父は冷静な口調で説き伏せた。
「成人を過ぎた男が16歳の娘を連れ回したらアカンだろう。悪く言えば、犯罪にも等しい。ちょっと警察まで付き合ってくれるか」
青山は祖父の車に乗せられ、警察署に連れて行かれる途中、なぜか激しく動揺し、大声で泣き出した。
「もう二度とお孫さんには会いません。去年も別の女の子に同じことをして、警察に取り調べを受けました。今度捕まったら刑務所行きになる。勘弁してください!」
祖父は泣きじゃくる青山が哀れになり、「もう二度と会わない」と約束させて、息子の熊野に電話した。
「本人は反省して、もう会わないと言っている。今回だけは警察に連れて行くのは勘弁してやろうと思う。お前はどうだ?」
「お父さんがそう言うなら、それでいいです」
こうして青山は警察に突き出されるのを免れたが、警察は「娘さんからも事情を聴きたい」と言って、青山と性交渉があったかどうかを尋ねた。しかし、それでもミユキは真実を話さなかった。
ところが、それから1カ月後、ミユキが突然、「お父さんとお爺ちゃんが殺される!」と言って泣き出した。