ミイラのようになった遺体が床下から発見

 2月21日、捜査本部は捜査員約100人をかけて捜索し、日本閣の未完成の新館廊下床下から鎌輔の遺体を発見。

「床下の土は柔らかく、作業は急ピッチで進み、約90センチ掘り下げた時、毛布が現れた。約2メートル四方の中に鎌輔は毛布にくるまって北枕に埋められ、両足を曲げてミイラのように冷凍化していた」と22日付下野の記事。

 鎌輔の遺体は、「出刃包丁でとどめを刺されたためか、首から上は出血がひどく、のどには首輪のように荒縄が巻き付けられてあり、むごたらしい姿に捜査員もしばし顔を背けていた」という。

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遺体発掘の模様を報じる栃木新聞

 同じ紙面には、捜査本部が21日、鎌輔の遺体を隠し、証拠隠滅を図った疑いで“第三の男”、西那須野町の植木職人(55)を逮捕した記事が載っている。のちにこの人物は証拠不十分で起訴猶予になる。

 発掘現場には大貫も連行された。22日付下野は「山のような人だかりを流し目に見て不敵な薄笑いを浮かべながら、身振り手振りで捜査員に凶行の模様を詳しく説明していた」と記述。一方、同日付栃木は「頭からマフラーを被り、深くうなだれたまま、終始ブルブル震え、遺体の近くでは『かんべんしてください』と何度も後ずさりしていた」と全く印象が異なる。

大貫も立ち合って行われた遺体発掘作業を捉えた連続写真(栃木新聞)

過激さを増すカウに関する報道

 下野は1面コラム「平和塔」でも「悪魔のような女、小林カウ」の見出しで事件を取り上げたが、ウメの行方は「現在のところはナゾに包まれている」としつつ、「色と欲の二道かけた小林カウなる女性の心臓の図太さには驚かざるを得ない」と書いた。

「悪魔のような女」という評論記事も(下野新聞)

 25日付の同じ欄でも「カウの残虐性には背筋の寒くなる思いがする」「常人の神経をはるかに超えるものだ」とした。当時の新聞社会面全体にいえるが、“悪逆非道”“無恥”“淫乱”など、事件と関係者の性格を決めつけ、それに沿って思い込みの強い報道が展開されている。それは23日付下野に掲載された「10代から水商売転々 色と欲の性格異常者 小林カウ 金になれば体をはって…」という記事についてもいえる。