「味園」最後の日は…

 では、味園の最終日はどんな感じだったのだろう?

「最終日はまあ、忙しかったですよ。一見さんばっかりでしたけどね。最後のほうは半分以上が一見。“初味園”ですわ。その人らが多すぎて、何年ぶりに来た人が入られへんとかなって。だからよその店なんか、一見お断りとかしてました。うちなんかは移転するから、あんまり断るのもなあと思ってたんですけど」

 最終日に忙しかったというのはいい話で、できればその場に居合わせたかったとも感じる。

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「味園を移転した店、ほんまに1年後には何店舗残ってるかみたいなのはやっぱり思いますよ。なんだかんだ、やっぱりおんぶに抱っこやったんでね。よく『味園で有名じゃないですか』っていわれるけど、それは味園で有名なだけであって、それ以外ではそうでもないですよ。『味園といえば銭ゲバじゃないですか』といわれるけど、『味園の』っていうキャッチフレーズみたいなものやったから、単体ではやっぱり弱いですよね」

 

 だからこそ今後、新店舗にも人が増えてほしいものだ。人ごとながらそう感じずにはいられない。音楽の話ができたり、あとから入ってきたサラリーマンのグループと盛り上がったり、なんだかんだ、この日はとても楽しかったからだ。大阪を訪れたときには、ぜひまたお邪魔したい。そう思わせてくれる店だった。

味園とはがらりと街の雰囲気が違う新天地へ

 さて、それではもう1軒の店、オーナーであるKozyさんこと重田耕志さんの個性が強烈だった「ZZ BAR」はどうだろう? ムヤニーさんによれば、同店の移転先である布施という街は「いま、めちゃ盛り上がってる」らしいのだが。

 ちなみに恥ずかしながら土地勘がないため、味園に近い日本橋と布施との位置関係がイメージできない。そこで大阪の友人に尋ねてみたところ、両駅は距離的に「東京の中央線でいえば、吉祥寺と武蔵小金井くらいですわ」とのこと。もちろん感覚的な話ではあるが、それを聞いてなんとなく想像はついた。

布施駅前の商店街「ブランドーリ」

 しかし布施駅周辺は、なんばや日本橋とは印象がまったく異なる。そこそこに栄えてはいて飲食のチェーン店なども多いのだが、基本的には落ち着いたイメージだ。商店街も昼間はそれなりに賑わうのだろうが、夜は人通りが少ない。

 ともあれ、メイドっぽい格好で客引きをしている女の子の前を通り過ぎて脇道を入り、数軒先のビルの2階にエレベーターで上がると、すぐに「ZZ BAR」と書かれたドアが見つかった。